伝送不良

きょうも言葉が伝わらない。

209系の話。側面・妻面編

 あれ?前回の投稿から4ヶ月経ってる…?モノが発売されてる…!?

 

 

 

 今回は車両の側面・妻面について見ていきます。なお前面FRPと側開戸部分については、"前面編"ならびに"側開戸編"をご参照ください。

 

warabi-ze.hatenablog.com

 

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側面

①側窓の違い

 東急/新津製と川重製では側窓の枠、窓隅の曲率、位置に違いがあります。

 

 特に有名なのは窓隅の曲率が異なる点でしょうか。東急/新津製が直角に近いのに対し、川重製は角度が浅くなっています。

 

川重製の方が角度が浅い

 また、川重製では窓枠が車体に溶接されているのに対し、東急/新津製ではビス止めとされています。特に後者は枠の幅が広く、材質の違いから車体と色味が異なり目立つのも特徴です。
 更に、川重製は東急/新津製に比べ側窓がわずかに高い位置にあるのも特徴です。

 

②雨樋の位置・取り付け方の違い

 東急/新津製と川重製とでは雨樋の位置と取り付け工法に違いがあります。

側灯付近を写したもの。帯を基準にすると側灯の位置も若干違う

 東急/新津製の方が、雨樋が高い位置にあります。また、川重製は雨樋下に溶接のための幕板が伸びています。

 

東急/新津製の方が雨樋の位置が高い

 東急/新津製は若干雨樋がレール方向に長い為か、端部を内側に向けて絞ってあるのが特徴です。

 

東急/新津製は雨樋端部を内側に絞っている

 

③車体端部の工法の違い

 車体端部の工法に違いがあります。

 

 東急/新津製は縦方向に、川重製は裾部分に補強のような構造が見られます。

 

大船工場製

 大船工場で製造されたモハ208/209-24・39・70の各ユニット、サハ209-48・51・52・135・136、900代のサハ209-923・924には、2位扉~3位扉間を除いた裾部に補強を施したような工法が見られました。

 

とても分かりづらい画像しか残っておらず恐縮です…
ネットの海で検索していただければ、分かりやすい画像がたくさん出て来ますので是非

 また、大船工場製車両の中でも、サハ209-51のみ形式表記がプレート上に書かれていました。

 

プレート上に書かれたサハ209-51の形式表記

 

④継ぎ目の有無

 側開戸と直後の側引戸間の、継ぎ目の有無に違いがあります。

 

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破線部分の継ぎ目の有無が異なる(マウスオンで破線表示)

 東急製については、1995年頃製造分より工法が見直され、以降に製造されたナハ32や他番代、類似形式や後述するクハ209-69では川重製と同様、上記箇所に継ぎ目のない構造となっています。*1

 

クハ209-69(現クハ209-2102)

 蒲田電車区内での脱線事故により2002年頃に東急車輌で代替製造されたクハ209-69は、浦和区の東急製0代の中では異彩を放つ存在でした。

 

東急製でありながら、側開戸と直後の側引戸間に継ぎ目が無い

 

⑤JRマークの位置

 製造年次により、JRマークの位置に違いがあります。
 3次車までの川重製は低い位置に、後期車の一部には高い位置に貼られている編成も存在しました。

 

最も低い形態

 

中間に位置する形態

 

位置が高い形態

 

⑥窓改造

 209系は、登場より長らく車端の小窓以外は開閉機構のない固定窓でありましたが、停電事故時に換気能力の不足が問題となり、2005年末より0代4扉車の大窓の一部に開閉機構を搭載する改造が施されました。この工事は混雑の激しい4・5・7号車*2から優先的に施工され、その後順次全車両へと及びました。

 

窓改造の施された姿

 なお、近年では縦桟が銀色になっている形態も存在します。

 

画像は1000代

 

6扉車では1位扉~2位扉間、3位扉~4位扉間、5位扉~6位扉間の窓が開閉可能
開閉可能な窓は奥まっていて、窓下にDコック蓋がない

 

妻面

①妻面構造の違い

 東急/新津製と川重製とで、妻面の構造に差異があります。

 

 東急/新津製はフラットな妻面、川重製には補強のビードが入っているのが特徴です。

 

②縦樋の形状・位置の違い

 

 川重製が角形の縦樋であるのに対し、東急/新津製では丸形の縦樋が使われています。また東急/新津製では縦樋が転落防止ホロの中を通っています。

 

ウラ78編成

 ウラ78編成の妻面には、車外スピーカーが試験設置されていました。

 

右側妻面に設置されているラッパ状の機器が車外スピーカー
現在主流の側面幕板部に設置されているものとは大きく異なる

 

台座は0代の全車に準備されている

 

900代

0代では屋根上に設置されているラジオ輻射アンテナですが、900代では妻面に設置されていました。

 

妻面に設置されている白い箱がラジオ輻射アンテナ

 

Dコックの違い

 空気式ドアエンジンを採用していた1・2次車と電気式となった3次車以降では、Dコックの位置や形状が異なります。

 

空気式は所謂三方コック、電気式はスイッチ

 妻面に設置されているのは一斉開放(空気式では両側、電気式ではそのスイッチが設置されている側の扉の開放)を目的としているコックです。電気式の側面に灯る緑色灯はパイロットランプで、蓄電池が入の状態で点灯します(滅灯時は扱っても機能しません)。
 なお、電気式については2100代への改造時に補強(更新)がなされています。

 

更新前の画像は東京都10-300形に設置されている同型のもの

 また、ドアエンジンが電気式となった3次車以降の4扉車には、1位扉~2位扉間および3位扉~4位扉間にDコックが設置されました。

 

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マウスオンで側面Dコック位置表示

 なお、本形式の側面Dコックは、その両隣の扉を開放します(蓄電池切でも機能します)。

 

ステンレス材の曝露試験

 クハ209-59(現クハ209-2117)の333側*3乗務員室寄りの側面Dコック蓋には、ステンレス材の曝露試験が行われた跡が残っています。

 

Dコック蓋にステンレス板がビス留めされている

 

Dコック表記について

 Dコック付近には、そのDコックがどちら側の扉を開放できるのかを示す表示(▲表記)がなされています。▼であれば手前側に、▲であれば向こう側に作用するといった具合です。

 

空気式の妻面コックは両側の扉に作用するので▼▲表記、電気式はそのスイッチ側にのみ作用するので▼表記

 なお、浦和区の0代では空気式についても長らく手前側▼表記のみでしたが、2008年頃より両側▼▲の表記となりました。これは幕張区の2000/2100代にも継承されています。

 

空気式であるものの手前側▼表記のみのナハ1(1次車)

 また幕張区の2000/2100代では、近年になり成田空港駅及び空港第2ビル駅にホームドアが設置されたことから、車体上部にもDコック表記が追加されました。

 

窓上に追設されたDコック表記

おまけ

 りんかい線70-000形は空気式のドアエンジンを採用していますが、車外Dコックは側面に設置されています。

70-000形では2位扉~3位扉間にDコックが設置されている
妻面には設置が無い

 

209系と比べると正方形に近い70-000形の側面Dコック蓋
70-000形においても登場時は▼(手前側)表記のみであった

 

 

 

つづく

*1:浦和区所属の東急製0代において、制御車はクハ209-69を除き1994年までに製造完了

*2:6扉車である6号車は対象外

*3:京浜東北線では海側