伏見つかさ先生の最新作です。
挿絵の絵師に伏見作品でおなじみのかんざきひろ先生を据えた、兄妹モノです。
背表紙のあらすじは
これは堂々たる初恋の物語である。
容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能、金持ちの家に生まれ超美人の姉妹までいる。順風満帆な人生を送る千秋には悩みがあった。
”生まれてから一度も恋をしたことがない!”
高校では心機一転、女子にちやほやされる日々を送ってみせる! そう誓った翌朝、目覚めた千秋は女の子になってしまっていた。自慢の外見を失ってしまった千秋は大ショックを受けるが、鏡で見た「わたし」の姿は、めちゃくちゃ可愛い! さっそく妹に見せびらかしに行く千秋だったが、女子にモテモテな双子の妹・楓の身にも、とんでもない異変が起こっていて――
あらすじより引用
以下ネタバレあり
「伏見つかさ×かんざきひろ」「埼玉県が舞台」に釣られて読みはじめましたが…
まさかのTSモノ。
俺妹、エロマンガ先生に続く作品故、順当にその線を辿るのかと思いきや、まさかのSF作品です。生えます。
TSモノ同人界隈が盛り上がるね!…というのはさておき、「捨て身の一撃を放つつもりで書きあげました」とは伏見先生の談。その覚悟が伝わってくる設定です。とはいえ、伏見節は健在。これまでとは一線を画す奇抜な作風かと思いきや、俺妹フリークだった私にとって、読み進める度「そうそうこの感じ…!」と懐かしさと興奮を覚える、まさに伏見先生の文体でした。
久々に浴びたハイテンション。絶叫で文字サイズが拡大されるの、嫌いじゃないです。その是非は別として、ライトでわかりやすい表現方だなあと思います。この表現方においては星野源 著「よみがえる変態」のそれが、非常に秀逸であると思っています。
閑話休題。
終盤はかなり下半身にきました。身悶えさせながら読み進め、「うおー」とか「うあー」と声が漏れ出る始末。これはきっとライト官能小説。
千秋と対峙する、楓の感情の吐露と乱れ具合がたまらんです。オタクはメンヘ・・・ツンデレキャラが好きだからね。(諸説あり)
先にも似たようなことを書きましたが、全体としては俺妹シリーズで通してやってきた事を1冊に濃縮した感じ。伏見先生の手癖が詰まった兄妹文学ここにあり、です。曰く「1巻で完結するつもりで」(あとがきより)ということで、その言葉通り、展開が激しく読み応え十分な作品に仕上がっています。
逆に1冊でここまでやって、続刊はどうするのかという余計な心配を抱く程。が、そんなものは杞憂に終わる、素敵な続編がもたらされることでしょう。期待しています。