ずいぶんご無沙汰になってしまいました209系の話。もたもたしている間にPLUMさんから続々と情報がもたらされております…。そちらについては、いずれ触れさせていただこうと思っています。
今回は側開戸…乗務員室扉なんて呼ばれたりもしますが、この部分に焦点を当てて違いを探っていきたいと思います。どうぞお付き合いの程お願い申し上げます。
なお今回は、浦和区に所属していた0代と、それに準ずる2100/2200代について解説します。他区所属車両や他番台、類似形式には当てはまらない場合がありますので、ご承知おきください。
構造の違いについて
①側開戸構造の違い
東急/新津製と川重製では、側開戸装置自体の構造が違います。以下は簡略的に外板と側開戸、手すりの関係性を示した図です。
天井から地面方向へ見下ろしているものとしてご覧ください。
東急/新津製は側開戸が台形であるのに対し、川重製は長方形のような造りになっています。また外板の取り回しも異なり、手すりの取り付け角度が異なっています。
②側開戸寸法の違い
東急製1・2次車のみ、側開戸が天地方向に短くなっています。
③落とし窓寸法の違い
川重製1・2次車では、落とし窓が天地方向に拡大されています。
④靴づり部寸法の違い
靴づり部の外板寸法が、メーカー・製造時期により異なります。
⑤鎖錠装置の違い
7次車より、側開戸の鎖錠装置が変更されています。
7次車以降は、鎖錠状態で閉扉するとオートロックとして機能します。5次車までの従来装置も、錠を半固定状態にしておけば、外側からピンを押し込むだけで簡単に鎖錠できる便利機能を有しています。
⑥手掛け形状の違い
側開戸を車外から閉めやすくする為の手掛けの形状に、メーカーや年次の差があります。なお、1~3次車は落成当初この手掛けがなく、後年になり追加で設置されています(時期不明)。
それでは以上を踏まえてご覧ください。209系側開戸コレクション!
製造会社・年次ごとの違い
●川重製1・2次車
大きな落とし窓と、後付けの小さな手掛けが特徴的です。
●川重製3次車
3次車から落とし窓が東急製と同じ寸法となりました。また後付けされた手掛けが、新津製に似た形状ながら小型のものを設置しています。
●川重製4次車
川重・東急製とも、この4次車から製造時より手掛けが設置されるようになりました。
なお、この4次車を以て川崎重工での209系0代の製造は終了しています。
●東急1・2次車
側開戸装置自体の寸法が、天地方向に小さいのが特徴です。相対的に落とし窓が大きく見えますが、寸法は東急製他次車と変わりありません。手掛けは後付けです。
●東急製3次車
東急製は3次車より側開戸装置の寸法が拡大されました。手掛けは後付けながらビスの目立たないものになっている一方、取り付け位置が低いのが特徴的です。
●東急製4次車
川重製同様、東急製も4次車から手掛けが製造時に取り付けられるようになりました。
なお、一部例外を除き、この4次車を以て東急車輌での浦和区向け209系0代の製造は終了となっています。
●新津製5次車
形状は東急製3次車に酷似していますが、手掛けの取り付け位置が東急製3次車より高いため判別可能です。
この5次車の後期車(ウラ46~48)から、靴づり外板の寸法が左右方向に縮小され、側開戸外枠とツライチになっています。
なお、この5次車より浦和区向け209系0代は、一部のサハ208(6ドア車)を除き、新津車両製作所にて製造されています。
●新津製7次車~
この新津製7次車から鎖錠装置が変更されています("⑤鎖錠装置の違い"参照)。
●クハ209-69
ウラ67編成に組み込まれていたクハ209-69*1(大宮方先頭車)は、2002年2月19日に蒲田電車区構内で発生した脱線事故の影響で使用不能となりました。その後、修理扱い(車籍を残したまま)で東急車輌にて代替新造がなされています。そのため前述の事故後は、この車両のみ新津製7次車以降と同じ側開戸ながら、靴づり部外板が左右方向に長い東急製の特徴が見られる特異な車両となっています。
おまけ
●中原区の209系
中原区所属の209系については、2200代のナハ53編成*2を除き、新津製と同形の手掛けを、天地を逆転させた形で設置していました。ナハ1編成*3については、落成当初は浦和区の0代同様に手掛けのない仕様でしたが、後年になりドアハンドルと錠が一体となった扉へ側開戸ごと交換され設置に至っています。ナハ53以外の2200代については、配置直後は種車のままでしたが、その後に改造が施されました。
つづく