伝送不良

きょうも言葉が伝わらない。

KATO製E655系の台車を交換する話。

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台車を交換するE655系とE261系台車各種

 ふとTwitterを眺めているとKATOが製品化したE655系の画像が目に入りまして、そしてあることに気がつきました。「この製品、E531系の台車を履いてるんだ」と。だから何なんだと思われるかも知れませんが、実際には両形式で履いている台車が異なるのです。
 車両形式ごとに専用品をこさえると高コストとなりますから、鉄道模型の世界では似た形状のパーツを流用することが珍しくなく、件の事象もそのうちの一つ。メーカーもなるべく違和感のない部分でその手段を執るようにしているので(たぶん)、ぶっちゃけ「何が違うの?」と思われるような微妙な差です。が、一度気になりはじめるとどうにも止まりません。オタクの悪い癖。

 近年のJR東日本が使用する電車(所謂JR新形式)の台車をざっくり分類するとすれば、一般形用台車と特急形用台車というように分けられます(本記事では便宜上そう呼称します)。E531系が履くのは前者、E655系が履くのは後者です。なのでE655系E531系の台車を履いているとなれば違和感があって当然なのです。人間に例えれば箱根駅伝の選手がコンバースのスニーカーを履いて走っているようなもの。分かってほしい。
 当然それぞれの分類の中にも車両形式ごとに更なる差があるのですが、その解説は省略します。なぜなら今回のコンセプトは「既製品でなるべくリアルに」。突き詰めようと思えば自ら正しい台車を設計して3Dプリンターで出力し…となるのですが、資金も技術もありませんのでここが私の落としどころです。偉そうに違いを語る前フリとは矛盾していますが許してください。
 それじゃあ何の台車に換装するのかといいますと、今回は昨年製品化されたE261系の台車群を用意しました。E261系では何故か新たに台車の金型が起こされたのです。KATOさんえらい。ちなみにE261系が製品化されるまで特急形用台車はE257系用の物しか存在しませんでした。なおこちらはビズ止め台車の為、E655系への無加工での交換は不可能なのです。

 交換作業は至って簡単。スナップ式台車なので元の台車を外して新たな台車を取り付けるだけで完了です。

 

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左(奥)が製品状態、右(手前)が交換後。ばね帽の形状とヨーダンパの取り付け位置が異なる

 ということで交換前後の状態をご覧いただいております。大きな違いは

  • 台車側梁の軸箱上に位置するばね帽が一般形用は変則的な形状なのに対し、特急形用は四角形に近い形状をしている
  • 一般形用と比べて特急形用はヨーダンパ装置の取り付け位置が妻側に寄っている

の2点。この差で両者が似て非なるものであるということがお分かりいただけるかと思います。なおE261系とE655系では速度発電機の形状やその他細部が異なりますので、あくまでタイプ止まりです。

 まあ、見ようによっては微妙な違いであることには変わりありません。中古査定に出しても気づかれないレベルだと思います。それでも、より特急車然とした姿を手に入れたことや手を加えたことにより湧く愛着などは何物にも代えがたいものです。今回の交換で鉄道模型は自己満足の世界だと、つくづく思い知らされました。

 ちなみにKATO製のE259系E657系E531系の台車を履いていますので、本記事と同様に交換しますと手軽に満足感を得られるかと思います。ぜひお試しあれ。