Lのピンが甘ぇ…
海老名駅に隣接する場所にオープンした小田急電鉄のロマンスカーミュージアムへ行ってきました。
これまで車両基地の倉の中で保存され、車両基地の一般公開でのみ披露されてきたロマンスカー保存車。その珠玉の車両たちが、ついに博物館へ収蔵され通年公開される運びとなったのです。小田急ファンのみならず、多くの鉄道ファンの夢が叶った瞬間なのではないでしょうか。
ペデストリアンデッキと接続されたエントランスから暗がりのエスカレーターを降りると、突如として現れる光の空間。眩んだ目が慣れてくると、視界に飛び込んでくるロマンスカーたち。その感動から思わず声が漏れてしまうほど。いやぁ演出が上手すぎる。
展示スペースが広くとられており、様々な角度から車両を眺めることができます。
各車を横から眺めると後継車になるほど窓の天地が拡大され、窓の角度が浅くなっていく進化の様子を見て取れます。こうして見ると所謂SSE車とNSE車だけが比較的ゴツい見た目をしていることがわかりますね。当時の流行だったのか、技術的な制約なのか。いつかガイドツアーなんて実現するとより楽しいかもしれませんね。
SE車は後年SSE車へと、NSE車は冷房装置が増設され愛称表示器が電動化された姿で保存されています。SE車や後述するHiSE車など、ロマンスカーの中には時代に翻弄された車両も多いように思います。結果、形態差の発生や譲渡による走行線区の変遷など趣味的にはおもしろく思える点が多かったりもします。
私世代でロマンスカーといえばこの車両、という方も多いのではないでしょうか。それまでのオレンジバーミリオンの眩い塗装からワインレッドが鮮やかな塗装へと変わり、ハイデッキ構造を含めロマンスカーのイメージを一新した車両であります。
この車両も時代に翻弄され、先輩のLSE車よりも早く一線から退いてしましました。現在は長野電鉄に譲渡された8両が特急「ゆけむり」用車両として活躍中です。
小田急ロマンスカー=連接構造とまでいわれる程に定着したその構造ですが、他社での採用例は多くなく中々詳細をうかがい知る機会もありませんでした。そんな鉄オタ的モヤモヤを解消するかのように、HiSE車は連接台車が剥き出しになる形で展示されています。
なおロマンスカーにおいてもホームドア設置に伴う車両規格統一の必要性から、連接車両が数を減らしています。そういった流れからも連接台車の資料的価値は高まっていくのではないでしょうか。
JR御殿場線直通用に製造されたRSE車。20mボギー車や2階建て車両の連結、スーパーシートなどJR線に合わせた車両規格やサービスで他のロマンスカーとはひと味もふた味も違う魅力的な車両です。後継車両のMSE車も地下鉄直通用の装備も搭載されるなど、あさぎりの系譜は個性的な車両の宝庫であります。
JR車両に搭載されている鉄製の手歯止めやJR防護無線機、TEスイッチetc...前述の通り小田急線内でのみ運用される車両とは異なる装備が目を惹きます。
そんなわけで今回は車両展示を中心に見てきましたが、他にも沿線風景を再現した大ジオラマやLSE車の運転台を使用したシミュレータなど、充実のコンテンツでありました。
憧れの車両たちが一同に会するロマンスカーミュージアム。引退による更なる展示の増加など、今後の展開にも注目です。